「ひと」の姿、真珠

おかしなタイトルだと思われるでしょうが、夏休み最後の土曜日、展示をふたつほどハシゴいたしまして。
それを今更振り返る記事です。

■ルーヴル展

前に「ルーヴル」と名の付く展示を見たのは上野だったと記憶しているのですが、今回は国立新美術館。
できてまだ十年くらいの、前衛的な外観の美術館です。
ところでこの国立新美術館、正門は六本木駅を向いている方角なのですが、前売りを買って乃木坂駅から入るのがおすすめです。何しろ直結!
土日はチケットブースもありますよ(平日は正門側のみみたい)。

ルーブルの顔

さて、今回のルーブルは、「肖像画」に重きを置いた展示ですよ、との触れ込みでした。
実は私、母親が「印象派」好きだった影響で、若い頃はあまり肖像画などには興味がありませんでした。
でも。成人した頃から時々海外旅行に行くようになり、現地のお城やら美術館やら博物館やらを廻ると、ご当地の歴代支配者の肖像画がたくさん飾ってあるわけです。
それを眺めていてふと「そうか、肖像画って、当時の上流社会の風俗を伝える最高の資料でもあるんだなあ」と気が付きまして。
それ以来、ファッションポートレイトのような気持ちで、肖像画を見ております。

ルーブルの顔はめ

……さて、今回の肖像画展。
蓋を開けてみましたら、「肖像画」に重きを置いている、というよりも、「肖像」に重きを置いた展示でして、大変面白うございました。
まあつまり何かと言うと、「画」以外がかなり、充実していた、というわけです。

ギリシャの「権力者」の彫刻から、西洋のお墓に刻まれた「故人」のレリーフ、死者の仮面、立派な肖像画はもちろん、持ち歩くための「細密画」や、中には「取り替えて楽しむための、歴代美女のポートレイト」のようなものまで!
市井の人々から、歴史に刻まれた人々まで、様々な「顔」が揃っていました。

個人的に「おっ」と思ったのが下記。

★「マラーの死」
タイトルを見てもピンと来ないかもしれませんが、ぜひ、この名前でググってみてください。
お、これ教科書でみたことあるぞ! と思われると思います。
死の瞬間を描いた絵画、というのはいくつかありますが、これは、「刺殺の直後」のシーンであるのに、表情が奇妙に凪いでいて、不思議にぞくりとするのです。

★「ナポレオン一世のデスマスク」
皆さんご存知、例のナポレオンの「デスマスク」。
ナポレオンのデスマスクって、7月王政の「ナポレオン崇拝政策」の影響で、複製がものすごくたくさんあるらしいのですけれど、その中の一点です。
絵画だと、どこまで本人に似ているのかわからないなあ、と思うのですけれども、デスマスクは御遺体から取っている(はず)なので、ナポレオンはこんな顔をしていたんだろうなあ、としみじみ見てしまいました。
目を閉じて、少し口の開いた、頬のコケた姿ではありますが、それが一層、リアルに思えます。

★オルレアン公フェルディナン=フィリップの肖像とデスマスク
この人は、前述の「7月王政」のルイ=フィリップの長男坊。
文化人としても軍人としても名を馳せた、文武に優れた温和な人、と言う評判(少女小説のヒーローも真っ青ですね)だったそうなのですけれど、31歳で馬車で交通事故死しているそう。
何故この人がとても記憶に残っているのか、というと、肖像画の顔とデスマスクが、見事にそっくり、だったから……。
肖像画の出来が良い、ということなのかもしれませんが、誇張なくこの顔だったとしたら、若い頃はモテただろうなあ……なんてことを考えてしまったのでした。
なお、帰宅後にちょっと調べてみたら、彼は2児のお父さんだったそうで、その子・孫は欧州のいろいろな王家に縁付いて(お子さんふたりはご年配になってからの写真も残っています)、今も血がつながっているようです。

……歴史を伝えたり、人柄を忍ばせたり、故人に思いを馳せたり、美女の姿を留めたり。
肖像画、面白いよねえ。

***

■真珠

9月の頭までなのですけれども、銀座のミキモト本店で、「Feel the Pearl 感じるパール展」というのをやっていました。
本店の上のフロアがちょっとしたギャラリーになっていて、そこでミキモトの歴史と、いろいろな種類のパールとその母貝、それから見事なパールジュエリーを展示するというものです。
ツイッターを見ていたら、「ファッションプレス」のツイートが流れてきてね。これは行かねば、と。
乃木坂から六本木に移動し、そこから地下鉄一本で、銀座までまいりました。

これがねー、良かった。
とてもおもしろくて、とてもきれいでした。

まずね、真珠養殖の現場のVR動画が、VRゴーグルで見られるのが面白く。
波音が耳元から聞こえて、養殖筏の上を歩いているような気持ちになったり。
どこまでも続く海の上を、のんびり船で渡っている心地がしたり。

それから、アコヤ貝、白蝶貝、黒蝶貝といった名の知られている母貝の他に、コンクパールやメロパール、マベパールなど、あんまり聞いたことのないパールと母貝も見られたり。

もちろん、パールを使ったジュエリーも素晴らしいものでした。

肖像画を見ていると、権力者の衣装に、ふんだんに真珠が縫い取られていて、それが「権力の証」だったという記載があることが多いのですけれども、天然真珠しかない時代だったことを思うと、さもありなん……という感じです。
養殖といってもね、真珠は真珠。人工物ではなく貝が作るものですから、美しい球体のものは、養殖でだって、確実にできる、というわけじゃあないですものね。

***

夏の終わり、楽しい一日でありました。
秋もいろんな展示目白押しですものね。
最近は涼しくなってきて、出かけるのが楽しくなってきましたし、あれもこれも行かなくちゃ……と計画を立てて楽しんでいます。
さて、どれに行こうかな。

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