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「西洋絵画、どこから見るか?」展と「エマーユ」企画展

Date : 2025-03-30

ミロ展からハシゴして、西洋美術館で開催されていた特別展「西洋絵画、どこから見るか?」展と、企画展(常設展の一室で開催されている、小規模ながら毎度濃い企画)の「エマイユ展」を見て来ました。

まずは「西洋絵画、どこから見るか?」展へ。

タイトルがちょっと面白いですよね。サブタイトルではなくてメインタイトルが文章になっているのは、意外と見ない気がします。

「西洋絵画、どこから見るか?」これは、アメリカのサンディエゴ美術館と国立西洋美術館の共同開催で、国立西洋美術館が持っている絵画とサンディエゴ美術館が持っている絵画を織り交ぜて、西洋画の歴史をざっくり追いかけつつ、その魅力に迫ろう、という展示とのこと。なるほど、「どこから見るか?」と問い掛けつつ、流れさえ知っておけばどこから見ても良いし、流れを知っていると一層面白いぞ、ということなのでしょうか。

……とはいえ、長い歴史の中で大きな比率を占めているのはやはり、宗教絵画です。この展示も祭壇画から始まります。

日本はキリスト教徒の人が少ないですから、キリスト教にもとづく宗教画はあまり楽しみ方が分からない、という方もいらっしゃると思うのですが、なぜ宗教画が幅をきかせていたのかや、どのようなモチーフがあるかのかや好まれたモチーフ、絵の中に潜む隠された意図などを知ると謎解きのように楽しく見られるのでおすすめです。特に、17世紀以前の絵はその傾向が強いので、どれが旧約聖書由来でどれが新約聖書由来かとか、知っていると興味深く見られたりします。(わたしは通っていた大学がキリスト教系だったので、授業で学べてラッキーでした)

幾つか上げると……、聖母子はやっぱり人気のテーマで数が多いですね。マリアとイエスだけでなく、そこに子どもの姿のヨハネ(ぼろの毛皮をまとった姿で描かれている)や、ヨハネの母が描かれているものもよく見ます。

あと、意外と多いのはサロメでしょうか……。ヨハネの首を盆に乗せた狂気の美女、というなんともサスペンスなモチーフを合法的に描けるというのは、当時の画家にとって魅力的だったのかもしれません。同じような理由なのか、マグダラのマリアも良く見かけるように思います。髪を結わず下ろし、上から布などを被っていない、ちょっと胸元の露出が多めの美女は彼女のことが多いですよね。これもまた、合法的にちょっとセクシーな美女を描ける貴重なモチーフだったのかもしれません。

で、時代が進んでいくと、宗教絵画も「聖書にあるモチーフ」から身近なものになったり、キリストや十二使徒ではない聖職者などが増えていきます。一瞬写真家と見まごうような静物、暗い背景。キリスト教成立時にはまだいなかった、聖書には出てこない聖人の絵画などが増えることで、徐々に宗教色が薄れていくのですね。

そしてそのうち、お金を出すのが宗教家や貴族だけではなく、商人の時代がやって来ます。
そうすると、風俗画が現れ、肖像画が増え……

肖像画の時代を経て、印象派のような「屋外で屋外の光をそのままに、見たものを描く」という時代にたどり着くのです。以前は、基本的に外でするのはスケッチまでで、あとは工房に持ち帰って弟子達と描いていたわけですが、印象派の画家達はついに、キャンバスとパレットを持って家を出て、制作そのものを屋外や田舎の町で行うようになります。

以前の時代と比べると、描かれているもののさりげなさや親しみ、背景の明るさのあまりの違いに驚きます。自然光ってこんなに明るいのねえ。

今回の西洋絵画展は印象派くらいまでで、その後の時代(シュルレアリズムであるとか)や写真などはありませんでしたが、そうした流れでポートレート写真(肖像画)やスナップ写真(風景画)に繋がって行く一方、では絵画はどこへ行くべきか、と抽象などに流れていったのだな、というのが通しで眺められて、とても面白かったです。


さて、西洋絵画を浴びるように見てお腹いっぱいのところで、企画展の「エマーユ展」へ。正確にタイトルを述べると、「梶コレクション展―色彩の宝石、エマーユの美」となります。

エマーユ……よく聞く言葉で言うと「エナメル」や「七宝」でしょうか。「エマーユ」はフランス語のようです。エマイユ、と書くこともあるみたい。

金属の表面にガラスの粉で絵を描いて、熱することで絵を定着させるあの技法です。ガラス質が表面を覆うので、つやっとして綺麗ですよね。帯留めとかブローチとかで見たことのある人も多いのではないでしょうか。

つまり、この企画展は西洋における七宝的な装飾品「エマーユ」のコレクションが、「梶さん」というジュエリーアーティストの方から新しく寄贈されたので、それを紹介しますね! というものでした。19世紀から20世紀に描けての時代にヨーロッパでもエナメルの装飾が流行ったようで、種々様々なものがつくられていたそう。

……いやこれがまた、美しくて! 珠玉!! と思いながら舐めるように見て来ました。
本当に繊細で、鮮やかで! 絵画を身につけられるとくれば、アールヌーヴォーやアールデコとは相性が良かったこと間違いなし。なるほど、流行ったわけです。

……展示室の照明の位置の都合で、手が写り込みまくっててごめんなさい。

しかし本当に素敵だった。これは何度見ても良いものです。また、まとめて企画をやってくれたら嬉しいな。

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