科博で開催されていた、『古代DNA―日本人の来た道―』を見に行きました。
タイトル通りの、「古代人のDNAから見る、日本人という人種は一体どこからこの島国に到達したのか」を探る内容です。丁度、開催直前にNHKで特集番組をやっていたのを見ていた事もあって、見たいなあと思っていたのです。

DNA……ゲノムの解析技術って、この20年でうんと進歩したらしく、20年前には「この骨は分析できない……」と思われていたようなものからでも、様々な情報を取り出せるようになったりしたそうで。最近テレビで見たものでは、恐竜の骨からタンパク質を取り出したり、なんてことまでできたりするらしく。恐竜の骨よりは随分若い数万年単位の人間の骨だったら、DNAを取り出すことだってできるようになったということみたいなんですね。
日本人が現在の列島のある場所にたどり着いたのは、旧石器時代である4万年くらい前と言われているそうなんですが、どこから来たのかはっきりとは分かっていなかったところ、近年、沖縄で2万7千年くらい前の人骨が発掘されたんですって。このくらい古い人骨って、日本の土壌だとほとんど残らないそうなんですが、この人骨はたいへん綺麗に残っていて、今の技術ならここからゲノム解析が可能なのでは……? という話になったらしく。





国立で学博物館では、ゲノム解析でノーベル賞を取った先生のグループと共同研究をしているそうで、最新の解析技術を使うことでこの骨からいろんな新しいことが分かってきたんですって。
たとえば……、旧石器時代の日本人はどこから渡ってきたのかははっきり分からないけれど、たぶん南の海洋民族なんじゃないかと思われていた(弥生時代になると大陸から渡ってきた人の血が結構入っていることは解析で分かっているらしい)ところ、旧石器時代には既に、北方のDNAも入ってる人もいたみたい! ってことが分かったりだとか。
人骨同士の血縁関係がはっきりして、親子かと思ってたらどうも三親等くらい離れてるぞだとか、血縁がない人の骨もあるぞなんてことが分かり、この時代すでに離れた集落との人の行き来があったっぽいな? みたいなことが判明したりだとか。
そういう、今までは発掘現場の情報から「多分そうなんだろう」と考えられていたことが骨の血縁関係から裏付けられたり、想定と違う発見がたくさんあったそうです。新しい視点が追加されることで、旧石器時代はわたしたちが想像していたよりずっと、人の行き来の多い時代だったのではないかと考えられるようになってきたのだとか。
そういえば長野の良質な黒曜石の産地には、日本中の土器土偶の影響を感じさせる出土物が結構あるらしく、石器時代にはもう、日本のあちこちで人の移動があったらしい、という話もどこかで聞いた事があります。移動が大変な時代だっただろうに……、見知らぬものへの好奇心や、優れたものへの欲望の強い人、いつの時代もいるのでしょうね。それまでの常識を覆す人、そういう人が文明の発展に繋がったんだろうなあ。
展示には、人間がアフリカからどのように分布していったか、現時点で分かっている年代やルートのパネルもありました。これ、新しい発見があって大変面白かったです。日本、大陸のどん詰まりの位置にあるのに、結構昔に人類が到達していて、人間の好奇心と生息域を広げる勢いに慄きました。あと、島伝いでない、太平洋のど真ん中を移動したらしき海洋民族の分布とか。丸太船の時代に勇気がありすぎる。むかしのひとすごい。ほんとすごい。
そのほか、その時代の原人の頭骨なんかもたくさん出ていました。……小さい子どもの骨なんかもあったので、ちょいと刺激が強い人もいるかもしれません。ブログには載せないでおきます。



……前にも書いた記憶がありますが、科学博物館に行くと、DNAのことに限らず、学生の頃に授業で聞いたことが否定されていたりより深く分かっていたりして、技術の進歩に驚くことがけっこうあります。いいくにつくろうがいいはこつくろうになったみたいな。当時教わったことからすると信じられないような新しい説が定説になりつつあるなんて聞いて、あれって真実じゃなくて、あくまで『説』だったのか! って気づいたりして。
この「古代DNA展」はそういう気づきがたくさんある、面白い展示でした。巡回もするらしいので、ご興味のあるかたはぜひぜひ。
……ところで、あんまり関係はないのですが、わたし、旧石器時代など本当に旧い時代の「針」の展示が好きでして。初めて見たとき、なんだかすごく感動してしまって。何に感動したって、何万年も、「針」って形が変わってない、ってことにです。
針ってごく初期から、すっごく細くて小さい穴が空いてて、糸をそこに通して使う形なんです。ミシンが生まれるまで、人間はずーっっと何万年も手でこの形の針を持って布を縫い合わせてきたんだなって思ったら、ぐっときてしまって。
最初にこれを考えた人は本当に天才だったと思う。そして、材質こそ骨から金属に変わったけれど、形はこれが最適解のまま何万年も経っていて、いまも手縫い針はこの形、っていうのになんか、すごく感動してしまったのでした。
……人類の歴史上、そういう発見をした天才が何人もいて、今に繋がってるんだなあ。



















