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屋久島に行きました

Date : 2019-10-26

生きているうちに一度は見たい、と思っていた『縄文杉』を見るために、屋久島に行ってきました。『もののけ姫』のモデルになったと言われる森の奥にそびえる、推定樹齢7200年の大木です。みなさんきっと、写真や映像でご覧になったことがあるでしょう。

20m以内には近づけない、でもこの気迫

しかし、現物を見たことがある、という人は、たぶん、そんなにいないのです。

なぜなら!
この『縄文杉』、島まるごとが岩山である屋久島の、1000m以上の高地であるかなりの山奥に生えているのです……。
8.5kmの『トロッコ道』と呼ばれる、トロッコの軌道(昨年、レールの間に木の板が敷かれて歩きやすくなりましたが)を歩き、その先2.5kmの登山の果てに、その木は待っているのです。

――同行の友人も私も、バリバリのデスクワーク。ごく一般的な体力と、一般人よりやや劣る筋力しか持たないのですが、『残りの人生で今が一番若いのよ』という格言を思い出し、思い立ったが吉日と、一念発起してまいりました。

……いや、ね。覚悟はしてました、けどね。
めちゃめちゃ、しんどかった。
わたし、生まれてからこれまでで一番根性見せたんじゃない? などと思いました。

森は美しく、水は美味しく、運良く空も晴れ渡り(とはいえ、雨の日のほうが森は美しいそうなのですが)、鹿や猿も目撃できましたが、ほんとうに、しんどかった。
登山ガイドさんを予約し、8人の初心者パーティで登ったのですが、

・朝3時起き
・5時45分登山口から登山開始
・11時半に縄文杉到着
・17時に登山口に下山

……いや、しんどかった。
ガイドさんいわく、「非常にリピーターの少ないコースなんですよねー」とのこと。その気持ち、めちゃめちゃ分かる。同行チームのマダムは、『一生に一度、と思うからこそ頑張れるのよこれ……!』と叫んでいましたが、わたしも内心で(それな)と毎回頷いておりました。ほんとにそのとおりでした。

島は素晴らしく美しく、食べ物も美味しく、適度に『観光地化されていない』素敵な場所なので、ぜひおすすめですよ! と言いふらしたい気持ちは多分にあるのですが、縄文杉への訪問は、覚悟と準備をキッチリとなさって下さいませね。
ちなみに、当日は「屋久島でも久々の晴れと高温」でしたが、それでも下記は絶対に必須でした。

・帽子
・登山用のタイツか長ズボン
・登山靴
・手袋←無くてもいいって言われたけど絶対必要
・朝ごはんとお昼ごはんとおやつたくさん
・携帯トイレ←5時間くらいお手洗いが無いので、お守り代わりに持ってたほうが心が安らぐ

……なお、そこまでしんどくない、森を堪能できるルートはたくさんあるそうなので、縄文杉以外を見に行くのは大変におすすめです。トビウオも美味しいよ!

などとまず散々脅してからにはなりますが、森は本当に、本当に美しかった。
流れる水にパイプがさしてあるだけの水場もたくさんあって、その水がまた、とびきり美味しかった。お肌や髪がつやつやになる超軟水で、その上湧きたてなのでとっても冷たい。汗だくに火照った身体で味わうそれはまさしく甘露、命の水とはこのことかと思います。

屋久島の森は「もののけ姫のモデルの森」として有名ですが、残念ながら、映像からは匂いはしないし、湿度もない。本物の森にはそのどちらもたっぷりとあって、深く息を吸い込むと肺の底から洗い流されて、全身に心地よい何かが満ちるような気がしました。

姿は見えねど鳥は鳴き、鹿が現れ、猿が覗き。
汲めば飲める水があり、苔が絨毯のようにびっしりと生して、巨木が連なる。

そして現れた縄文杉の、立派なこと。
樹齢は定かではないそうですが、一説には7000年とも言われ、もしそれが本当であるなら、いわゆる「世界四大文明」の初期の頃……よりなお古いかもしれないということになります。老木の堂々たる偉容は、それまでの道なりに現れた、樹齢1000〜3000年の屋久杉が、若木に見えるほど。幹回りは16mほどもあるそうで、人がぐるりと回りを囲むなら、10人ほどは必要だとか……。
縄文杉は、20mほどはなれたデッキから見ることになるのですが、これは、縄文杉を保護する目的はもちろんあるのですが、「今にも落ちそうな大枝があって、もしそれが急に折れたなら、20mは離れていないと危ない」という面もあるのだそうです。

こんな光景は、今後の人生でもう二度とお目にかからないかもしれない、と何度も思いました。思うたびに悔しく、しかし目に焼き付けようと必死になりました。すべてがあまりにも美しく、気迫に充ちて、魂に迫ってきました。圧倒されちゃったよ。

帰りは足がガクガクになり、三回ほど尻餅をつき、翌日から二日間は歩くのも辛いほどの筋肉痛になりましたが(痛みを全く感じなくなったのは5日目からでした……)、喉元過ぎれば熱さを忘れる、終われば非常に堪能できた森歩き――いや、登山でした。

体力に自身のある方は、ぜひ。
なお、ガイドさんが屋久杉(千年を超えた杉の木の島での呼称なのだそう)を一本ずつ解説してくださいますので、音声ガイド的な意味でも、ガイドさんに同行いただくと楽しいように思います。

島の思い出の8割5分が縄文杉ツアーなので(翌日と翌々日は足が痛くて記憶がふんわりしている、とも言う)、その他については写真でなんとなくおすそ分け。

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