ゆえです。
ゴールデンウィークより前の話になるのですが、国立新美術館で開催中の、ミュシャ展に行ってきました。
http://www.mucha2017.jp/
お目当てはもちろん、ミュシャ晩年の大作『スラブ叙事詩』全20作の展示です。ポスターや広告、パッケージなどのイラストレーションでよく知られるミュシャですが、この作品は油彩で、物によっては6×8メートルほどもある、超大作なのです。ルーヴル美術館にある『ナポレオンの戴冠』の絵と同じくらいじゃないかな……。
この『スラブ叙事詩』は、パリから故郷のチェコに戻ったミュシャが、故郷を思って描いた作ですが、16年の年月を掛けて完成した頃には、『時代遅れ』的なレッテルを貼られ、あまり歓迎されなかったといいます。
かつてプラハに行ったとき、ウィーンとの2都市滞在であるという旅程もあって、展示されている宮殿までは行けなかったのですが、ミュシャ美術館で習作やデッサンなどを見たのです。それがあまりに素晴らしかったので、いつか見に行けたら……と思っていたのです。
それがなんと、東京に来ると言うじゃありませんか!
しかも、全20点!
これは、行かぬわけにはゆくまいと、前売り券も買って、楽しみにしておりました。
さて、当日。
同行の友が前売り券を忘れるというアクシデントもありましたが、10時開館の国立新美術館に10時に参りました。
そうしたら、チケット待機列、20分! 展示待機列、10分! わかってはいましたが、ミュシャ、大人気でした!
もちろん、かつて辛酸を嘗めた外待機3時間中待機2時間の鳥獣戯画展を思い出せばなんということもないのですが、それでもあれは日傘必須でございました。なお、私たちが並んだのは裏口、乃木坂側のチケット売り場でしたが、表の六本木側のチケット売り場も大変混雑していたようです。
そんな、30分ほどの待機を経て、否が応でも高まった期待を胸に展示室へと突入し……、息を呑みました。
迫りくるスラブ叙事詩。どどん。
大きい。とてつもなく、大きい。6✕8メートルの存在感を舐めていました。圧倒、圧巻のサイズ感です。それが、20枚もあるのですから、存在感が尋常ではありません。
ミュシャはこの作品を16年かけて描いたといいます。つまり1年に1枚強。いや無理でしょ。他にも仕事してるのに、無理でしょ。呆然です。
このサイズのものを20枚描くという、その情熱。準備期間の長さや作画期間、製作期間の長さを思うと、その間モチベーションを保ちづづけるエネルギーに感嘆する他ありません。ミュシャの故郷……いえ、スラブ民族への思い入れ、半端ない。
しかしこのスラブ叙事詩、完成するころには「時代遅れ」と呼ばれるのです。何しろ、作画中に第一次世界大戦が始まってそして終わっています。開始時に計画されていた美術館の建設はされず、この作品が現在の美術館に収まったのは、なんと2012年のことだといいます。これほどの情熱を傾けたものがその扱い。ミュシャの無念はいかほどだったことでしょう。
とは言え、激動の時代です。16年も経てば、人の意識は大きく変わっていたでしょう。前に向かって突き進む時代、過去を振り替えるのは古臭いことだと思われたかもしれません。時が流れるのは仕方のないことです。
でも、惜しいなあ、もったいないなあと思うのは、私が随分と後世の人間だからなのでしょうか。
ちなみにミュシャ、第二次世界大戦が始まる少し前に亡くなっています。第二次世界大戦後のチェコ界隈を思うと、ミュシャが第二次世界大戦後まで生きていたら、また評価も違ったのではないかなあ。
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ところで、ミュシャ展、1室だけ、写真撮影が可なんです!
興奮してパシャ-パシャ-してしまいましたので、スマフォ写真ですけども、その空気をおすそ分け。
2 thoughts on “ミュシャ展に行きました”
初めまして! ミュッシャ展の事が書いてあったのでコメントさせていただきました。 私も10日に行きました! 開店と同時入場し、写真撮ってからゆっくり見たのですが、迫力でしたねぇ❣️ 本当に素晴らしかった ミュッシャがあの様な油絵の大作を残してるって知らなかったし、音声ガイドに入っていたスメタナの交響詩我が祖国と相待って本当に良かったと思います。東京に住んでたらもう一度行きたかった! 特にお気に入りは最後の20枚目の絵です。誰がお気に入りでしたか?
こんにちは、はじめまして! コメントありがとうございます。
迫力でしたね~!!! 迫りくる、というか、押し寄せる、というか。
ただただ圧巻でした……。
音声ガイド聞かなかったのですが、スメタナだったんですね! 音声ガイド聞いちゃうと、好きなペースで回りづらいなーと思っていていつも聞かないのですけれども、それは聞いても良かったかもしれないです……。
私のお気に入りは 1 原故郷のスラヴ民族 で、でも一番ビクッとなったのは 14 ニコラ・シュビッチ・ズリンスキーによるシゲットの対トルコ防衛 でした。あれはドキドキしますね……。