7月に、リニューアルが終わって再開した、上野の西洋美術館に行ってきました!
西洋美術館、ル・コルビュジエ関連の世界遺産に選ばれたことで、当時の姿に近づける工事を2年くらいやっていましたね。前庭が建設当時のレイアウトに近い形になったそうですよ。ついでに上野駅の公園口もリニューアルして、より公園に近いところに出入り口ができました。駅前からこの前庭まで、なんだか広々すっきりです。
さて、リニューアル記念で開催されていたのは、「自然と人のダイアローグ フリードリヒ、モネ、ゴッホからリヒターまで」という絵画中心の展覧会です。ドイツにあるフォルクヴァング美術館の協力のもと、そちらの美術館と西洋美術館の収蔵品を中心として、ヨーロッパでの19世紀・20世紀頃の画家や写真家の自然を見つめるまなざしを様々に見せてくれます。
学生の頃、一年だけ「西洋美術史」という授業をとった事があるのですけれど(その講義の先生はフランドルの絵画がご専門でいらしたので、話の中心はその辺りだった)、その時に、「屋外で制作を行うようになったのは19世紀、印象派あたり以後」という話を聞きました。それまでの風景画は、写生をしてきた絵を元にアトリエで描かれることがほとんどで、実際に外に出てその場で描く、ということは余りなかったのですって。
でも19世紀、印象派などが出てくる時期になると、ヨーロッパの画家はカンバスを持って外に出て、実際に風景を目にしながら描くこともあるようになったのだとか。言われて見ると確かに、その辺り以後の西洋絵画における自然の表現は一気に幅が広がったような印象があります。
その背景には、19世紀という「ヨーロッパが急激に近代化した時代」があると言います。都市部から昔ながらの自然が消えていった時代であり、自然の豊かな地方から人が都会に出て行く時代……と言うことでしょうか。西欧では歴史的に「自然とは人が征服するものであった」、という話を聞いたこともありますが、急激に喪われるとなると自然を恋しく思ったり、愛しく思ったりするようになったのかもしれません。
今回の展示では、その時代のヨーロッパの表現者が自然をどう見て、どう捉え、どう表現してきたか、それをいろいろな画家・写真家の絵画や写真、版画や素描などの様々な作品で見せてくれます。
写実的なものから印象派、抽象絵画、そして写真と、次から次へ様々な表現が現れて目にも楽しく、百年と少しの間こんなにも様々な表現が生まれたのかと、びっくりします。知っている画家の絵も、知らなかった画家の絵もたくさんあって、ほんとうに見応えたっぷりでした。西洋美術館が収蔵しているモネの絵もまとめて観られて、嬉しかった!
期間は9月の11日まで。今はちょっと感染者数が爆発中なのでおすすめしづらくはあるのですけど、日時指定のお陰でさほど混雑はしませんし、展示室ではみんな、おしゃべりもあまりしませんので、行ける方はぜひどうぞ……!