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国宝展

Date : 2022-12-16

トーハクで開催中の「国宝 東京国立博物館のすべて」。会期が今週末まで延長される程の大盛況で、あちこちで大変話題だったこちらの展示、無事チケットがとれたので、博物館好き仲間な友人と行ってきました。

大階段がどーん。

テレビで特集されたり雑誌で取り上げられたりと様々なところで告知されていたので、お好きな方はご存じかと思いますが、今回の展示は、トーハクの開館150年を祝う特別展です。そんなわけで、展示の構成は5分の3くらいが今のトーハクを象徴する「国宝の展示」で、5分の1は過去を振り返る「トーハクの歴史」、残りの5分の1は未来に思いを馳せる「これから国宝になりそうな重文」となっていました。

そう、国宝部分は実は、5分の3程度。でも、トーハクの平成館の展示室はかなり広いし、次から次に現れる歴史ある逸品達に、「教科書で見たことある!」「こんな歴史背景があったのか……」と感心し続ける、怒濤のような2時間でした。ずーっと目と頭と感情がフル稼働です。いやちょっと量が多すぎじゃない? と思う位に、見終わった後はかなりヨレヨレに疲れていました。おなかいっぱい。まんぞく。

夕方のトーハクは風情がありますな

それにしてもトーハク、150歳かあ。150年前……1872年ですね。学生時代に上代文学をやっていたせいか、聞いた瞬間には「結構最近だな」と思ってしまったのですが、明治5年と聞くと「江戸時代の直後じゃないか」と驚きます。(ちなみにメトロポリタン美術館は1870年創立だそう。同じくらいなのですね)江戸時代が終わった頃ですから、開国したばかりの日本が、押し寄せる西洋文化に揉まれていた時期でしょう。

そんな時代に、あえて国内の様々なものを集めて展示する。当時、そんな博覧会が開かれて、それがトーハク設立の基礎になったのだそう。以来、トーハクは様々な品をコレクションしてきて、今では日本にある国宝の1割くらいがトーハクに収蔵されているそうです。

あの埴輪のキーホルダー。かわいい。

ちなみに、トーハクの総合文化展(他の博物館で言えば「常設展」にあたるものですが、トーハクの常設展は月替わりなので、常設展という言葉は当てはまらないですね……)にはいつ行っても、何かしらの国宝が必ず展示されています。毎年「今年の国宝展示スケジュール」も発表されています。

なので、国宝自体は見ようと思えば見られるのですが、滅多に展示されないものや、いつもバラバラに展示されているものが一気に見られるというのは、やっぱり特別感がありました。みんな大好き(?)刀剣の国宝は点数が多い(トーハクの保有する国宝の内、一割ほどが刀剣だそう)ので、いつも2~3振りは国宝の刀剣が展示されているのですが、すべての国宝の刀剣が一堂に会しているのは本当にレアな光景でした。
……普段は通わないと見られないあの刀もこの太刀も、全部まとめて見られちゃう。
……三日月宗近なんか、なんと裏側に回って見られちゃう。裏側にも月のうちのけがあるなんて知らなかった!
(でも特別展は撮影NG。総合文化展は基本的に撮影OKなので、刀剣を始めとして国宝をカメラに収めたい人は総合文化展で展示されている時を狙っていくべし……頑張ってお休みとって、平日午前がおすすめですよ……)

これはよく総合文化展に展示されている「老猿」。
(高村光雲作。重文)

なお、国宝展に合わせて、総合文化展や表慶館でも、面白い展示をやっていました。
総合文化展では、国宝に縁の品や、国宝の書画の元になったと思われる唐代の書画なんかも展示されていましたし、ARやVRを使った「普通には見ることの出来ないところが見られる展示」や「動く屏風」など、「未来の博物館」をイメージした展示が面白くって! いつまでも見ていられる……という気分になりました。

こちらプロジェクションマッピング屏風。なんと絵が動くんです……

後期は表慶館で、「未来の国宝(国宝になるかも知れない最近のカルチャーや、公募の「未来に残したい身近なもの」などを集めた展示)」展も開催されていて、これもなかなか面白かったです。最初は流行だったけれどいつしか定着したものが、100年後には無形文化財とかになっている可能性は、大いにありますものね。

ゴジラも300年後には国宝かもしれん

ちなみに「国宝」とは、ただ貴重なものだというだけではなく、そこに未来に残すべき歴史があるとか、時代や歴史を象徴するものがあるとか、背景を含めて重要なものが選ばれるのだそうです。
つまり、博物館などで見かける、国宝でも良さそうなのに国宝じゃないのか~、と思うような書画や彫刻なども、これから価値が見直されたり、歴史が明らかになったりすることで、国宝になりうるということ。

300年前武将達の間で流行った絵画が国宝になったりしているわけですから、今の流行も歴史を積み重ねたら、数百年後には国宝になっているかも。
夢が膨らみますね!

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