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「東京国立近代美術館70周年記念展 重要文化財の秘密」展

Date : 2023-08-01

サブタイトルは「『問題作』が『傑作』になるまで」。

ゴールデンウィークの頃まで国立近代美術館で開催されていた、展示品すべてが『重要文化財』という、美術館の70周年を記念する展覧会です。4月の頭に行ってきました。

東京国立近代美術館70周年記念展 重要文化財の秘密

……実は私、長年東京住まいのくせに、近代美術館は初めて(もしかしたら子どもの頃に連れてきてもらったかもしれないのですけれど、記憶にない)。建物の前は何度も通っていて、立派な美術館があるなあとは思っていたのですが、タイミングが合わなかったり、他の展示を優先してしまったりとなかなか訪れるきっかけがありませんでした。そんなわけで、近代美術館デビュー! であります。

さて、重文――重要文化財。
「重文」の作品はどれも、いずれ国宝になるかもしれない、傑作中の傑作……という印象を言葉からは受けるのですが(そしておそらくそれは間違ってはいないのですが)、絵画の常にあるように、描かれた時点では問題作と呼ばれ、画家の生前にはそれほど評価されなかった、というものも含まれています。

そんな様々な由来を持つ重要文化財を眺めながら、いつ、どの作品が重文に指定されたのかを見ていくことで、近代美術史の評価というものがどう変わっていったのかをたどってみよう、というのが今回の試みだったようです。

……とはいえ、すべてが現在では「傑作」と呼ばれるもの。そうしたストーリーや、重文だという先入観をとっぱらい、ひとつひとつの作品を見ていくだけでも、重文に……おっと、十分に楽しく。さほど知識のない私でも、大変楽しむ事ができました。

一番記憶に残っているのはやっぱり、展示の目玉である『生々流転』かなあ。横山大観の作として名前だけは知っていて、それが巻物であることも知っていたのですが、見たことはなく。あれほど長いとは勿論知らず、現物を前に思わず口の中でまず「ながーい……」とひとこと。けれども見ていくうちに、引き込まれてしまいました。
霧が山奥の木々の葉にやどって雫となり、川を流れ海へ注ぎ、そして嵐となって雲となり……と流転していく様が、墨一色でダイナミックに描かれているのですが、まずその流れを追うのが単純に面白い。そしてそれが、タイトルの『生々流転』と合わさると、なにか胸にぐっとくる物がありました。

『生々流転』は撮影不可でしたが、他は写真撮影可の展示が多かったので、またまた少しだけお裾分け。教科書やトーハクで見たことがある作品も、いっぱい出ていました!

常設展も、広々とした素敵な展示室が続いて、良い場所でした。
……今、サグラダ・ファミリア展が開催中らしいので、誰か誘ってみようかな。

あと、併設のレストランがとっっっってもお洒落で美味しかった。(お高くもありましたが……)
ちょっと特別な気分の時に良さそうでした!

なお、以下の写真はその後、小学生以来ぶりに訪れた江戸城跡。
ひろびろのんびりして、こちらもまた、都会のど真ん中とは思えない心地よい場所でした。
また行こう。

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