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「ソール・ライターの原点 ニューヨークの色」展

Date : 2024-03-31

こんにちは。過去に出かけた美術展や博物展を思い出すシリーズ、今回は「ソール・ライターの原点 ニューヨークの色」展を振り返ります。

「ソール・ライターの原点 ニューヨークの色」展は、2023年の7~8月に、渋谷のヒカリエの上にある展示ホールで開催されていた、「ソール・ライター」という写真家の写真展です。

この名前にピンとこない方もいらっしゃるかと思います。わたしも、去年の夏まで名前を知らない写真家でした。ではどうして見に行ったのか、というと、「美の巨人達」というテレビ番組で取り上げられていて、そこで目にした写真の「雰囲気」にぐっと心を掴まれてしまったからです。

ソール・ライター氏はカラー・フィルムが一般的になり始める1950年代頃からニューヨークで写真を撮っていた写真家です。「ハーパーズ・バザー」というファッション雑誌に掲載されたファッション写真で名を知られた方で、今回の写真展は彼がニューヨークでずっと撮り続けていた「後の巨匠達のポートレート」と、仕事として撮影した「ファッション写真」、そして「街角のスナップ写真」でした。

ちなみにこの左端は、アンディー・ウォーホル。

……私が今回、見に行きたいと考えたのはこの「街角のスナップ写真」が、ものすごく好きな雰囲気だったから。何気ないスナップ撮影が多く、当時は「カメラテストのための写真」だと周囲に思われていたそうなのですが、色彩といい構図といい、余りにも好みというか、とにかく素敵だったんです。

なんといったらいいのかしら、その場の空気や雰囲気までもが写真の中に息づいていて、ふとしたときによみがえってきそうな、それでいてどこかふんわりと遠く、儚いところがあるような。不思議に魅力的な写真ばかりでした。

彼は、ほんとうは画家になりたかったらしくて、そのためにニューヨークに出て来たそうなんですが、絵画では食べては行けずに、仕事として写真を始めたそう。だからなのか、気軽な写真のひとつひとつがまるで絵画のようで、どことなく「現実なのに夢のよう」な雰囲気があります。

こうした「雰囲気を撮る」カメラマンの方って、いまはたくさんいると思うんです。素敵な写真集も写真展も、それこそ、「溢れている」と言えるくらいあると思う。でも、カラーフィルムの黎明期にこれを始めたソール・ライターは、ある意味で「雰囲気のある街角カラースナップ撮影の祖」と言ってもいいんじゃないかなあ。(もっと早くから取り組んでいたカメラマンの方がいたらごめんなさい)

最後の展示室はなんと、巨大なカラースライドが壁の左右に何面も連なっていて、しかも次から次にスライドが切り替わっていく、という大胆な展示でした。現れるどの写真も素敵で、いつまで見ていても飽きなくて。その展示室にしばらく座っていました。

見終わった後自分もカメラを持って、街に繰り出したくなりました。帰り道に思わず街角の写真をスマフォとかで撮っちゃった人、たくさんいただろうな。(もちろん、わたしも!)

この人を知れて良かったなあ。

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